カシミヤのニットというと、肌触りが良く、着たいけれど「高級で管理がしにくい」「クリーニングに出すしかない」というイメージがありませんか?そんなカシミヤを使った普段使いできる「洗えるニット」が、アパレル各社から登場しています。カシミヤの特徴とあわせて、洗い方や洗うときの注意点、干し方などをご紹介していきます。
カシミヤって?
カシミヤは英語でcashmereとつづり、「カシミア」と呼ばれることもあります。インド北部に位置するカシミール地方の古いつづりから、このように呼ばれるようになりましたが、
現在の主な生産地は中国やネパール、モンゴルなどの標高が高い寒冷地となっています。
カシミヤヤギからとれる繊維の宝石
カシミヤはカシミヤヤギの毛が原料となっていて、「暖かい・軽い・なめらか」というニット製品にするのにもってこいの特徴があります。「繊維の宝石」と呼ばれるほど、すばらしい毛なんですね。肌に直接触れてもチクチクしないことから、ストールの素材としても人気です。
カシミヤヤギ一頭からとれるカシミヤは、ヤギの大きさにもよりますが、わずか150~300gほど。バナナ1本分~りんご1個分くらいなのです。ですから希少価値が高く、高価になってしまうワケです。
カシミヤのデメリット
カシミヤは秋冬物の衣類を作る際にメリットばかりに思える繊維ですが、一方で次のようなデメリットもあります。
- 水に弱い
- 虫に喰われやすい
- 毛玉(ピリング)ができやすい
- 色焼けしやすい
カシミヤは天然繊維なので、どうしてもこのようなデメリットが出てきてしまうのです。実際にこれまで多くのカシミヤニットには「洗濯不可」のマークが表記されていました。洗濯方法や保管の仕方については後ほどご紹介しますね。
偽物に注意!
高級な繊維として有名なカシミヤですが、カシミヤよりも安価で手に入るウール(羊毛)を混ぜるという方法で、偽物のカシミヤが世界中に輸出されているのが問題となっているのを知っていますか?
実際に偽物を見分ける方法は難しいのですが、「カシミヤ100%」となっていて、あまりにも値段が安いと、もしかすると偽物かもしれませんよ?
1万円以下のカシミヤニットは企業努力で価格が下がっている場合もありますが、要注意です。企業が行っているカシミヤ品質チェックを参考にしたり、自分でしっかり触って確かめたりして納得してから購入しましょう。
カシミヤニットの洗い方
先ほどカシミヤは「水に弱い」ということを説明しましたが、「洗えるカシミヤニット」は本当に洗濯しても大丈夫なのでしょうか?でもご安心を。正しいケアをすれば、自宅でも洗えるんです。
ただしカシミヤニットは、ネットを使ったとしても洗濯機の使用はおすすめできません。長く使用したいなら、断然手洗いがおすすめですよ。
<準備するもの>
- おしゃれ着洗い用の洗剤(中性のもの)
- 桶
- 洗濯ネット
- 柔軟剤(※必要な方のみ)
<洗い方>
- ニットが入るくらいの桶を準備し、30℃までのぬるま湯とおしゃれ着洗い用洗剤を入れ洗剤水を作る。
- 1.に裏返したニットをたたんで2~3分つけ置きする。
- 摩擦が起きないようにやさしく押し洗いし、汚れを浮かせる。
- 汚れが浮いてきたらぬるま湯を捨て、ニットを軽く押して脱水する。
- 桶に新しいぬるま湯を入れ、やさしく押してすすぎ~脱水をきれいになるまで繰り返す。
- ニットを洗濯ネットにたたんで入れ、洗濯機で30秒間脱水する。
柔軟剤を使用する場合は5.のタイミングで入れましょう。
カシミヤニットを洗うときの注意点
カシミヤはていねいに扱わないと傷みやすい繊維です。洗濯するときは次のことに気をつけましょう。
- 30℃以上のお湯を使わないこと
- 長時間水に浸さないこと
- 長く脱水しないこと
これらを守らないと縮んでしまったり、毛玉ができやすくなったりしますよ。
カシミヤニットの干し方
カシミヤニットの手洗い、脱水が終わったら、すぐにネットから出してやさしくたたいてシワをのばしましょう。強くたたいてしまうと、毛玉の原因になってしまいますよ。
ニットを広げたら、キレイに形を整えて平干ししてくださいね。お気に入りのカシミヤニットの色があせないように、なるべく太陽の光があたらない場所に干すようにしましょう。
ていねいに手洗いして長く着よう
「洗えるカシミヤニット」の特徴や洗い方、干し方などをご紹介しました。管理が難しいことから購入をためらいがちなカシミヤニットですが、その暖かさやなめらかさは一度着るとやみつきになること間違いなしです。
ていねいに手洗いをし、正しく干せば傷むことなく長く着ることができます。ぜひ秋冬物のワードロープにカシミヤニットを取り入れてみてくださいね。