防寒着の世界

防寒の基本

冬は寒い!

そこで活躍するのが防寒着です。今回は、防寒着はなぜ暖かいのかを考えてみましょう。

基本的に、防寒の基本は3点です。

・外気を遮断する

・熱を伝えない

・除湿・防水する

 

外気を遮断する

人間や動物は常に発熱しています。ヒトだと35~37℃台、ネコやイヌは38℃前後、ウサギは39℃前後です。

ネコちゃんとか暖かいイメージですが、実際、体温が人間より高いんです。

それはともかく、発熱しているのでそのままだと暖かいものの、寒いところにいると風が当たったりしてどんどん体温が奪われていきます。

そこで、防寒の基本はまず外気を遮断することです。

服というのはそもそもこの働きが大きいですね。

熱を伝えない

熱は、伝導・対流・放射で伝わっていきます。外気を遮断した後は、体温がこの3つのパターンで逃げていかないようにする必要があります。

まず、伝導。伝導というのは、そのものじたいを熱が伝わっていくことです。

例えば、指先で金属をつかむと熱が金属を伝わってどんどん逃げて行きます。そのため、部屋に置いてあるだけの、つまり、別に冷やしているわけでもない金属板でも触るとひんやりします。

金属製スプーンの方が木製スプーンより冷たい感じがしますが、これは金属の熱伝導率が高いからです。

 

逆に、煮えたスープに金属製スプーンを入れておくとスープの熱がどんどん伝わってくるので、そのまま触ると火傷をしかねません。

セラミックのスプーンやレンゲならそんなに熱くないですね。これもセラミックなどの方が金属より熱伝導率が低いからです。

 

いろいろな物質の熱伝導率はこんな感じ。

物質の熱伝導率 [W/m・K]

物質 温度[ 熱伝導率
0 83.5
0 428
乾燥空気 0 0.0241
乾燥木材 18~25 0.15~0.25
ガラス 常温 0.55~0.75

熱伝導率とはその物質を通して熱がどれだけ通りやすいかを表す数字です。

上の表を見てもらうとわかるように金属は熱伝導率が高く、空気はその千分の一以下の熱伝導率しかない物質です。

木材やガラスはその中間です。

 

空気はとても熱伝導率が低いので、空気そのもので防寒着ができればよいのですが、それは無理。空気だけだと外気が遮断できません。

そこで繊維の間に空気を含ませているのが、セーターなどの防寒着です。

ニットのセーターやマフラーが暖かい最大の理由、それは写真の羊さんのように「もこもこ」にあります。

「もこもこ」とはなにかと言えば、中に空気をつかまえる構造です。

ただ、熱は伝導だけでなく対流でも伝わっていきます。温まると対流で上昇します。その結果、首回りから暖気が逃げてしまいます。

 

また、袖口などや服の布地を通しても暖気は逃げてしまいます。特に、身体を動かすと服の中と外の空気の出入りが激しくなります。

このため、ただ空気があればよいのではなく、その空気がなるべく動かないことが重要になります。

 

もこもこした毛は空気を含みますが、繊維が内部の空間にもあるので中の空気は動きにくくなっています。実はこれが防寒着で重要なのです。

もこもこは空気を動かさない構造だという点でも意味があるわけです。

具体的には、毛糸、羽毛、起毛素材・・・これらは軽く、しかも細かい繊維が空気の動きを妨げるという点で防寒着の素材としてとても役に立ちます。

毛糸だとニットのマフラーやセーター、羽毛だとダウンジャケット、起毛素材だとフリースやボアなどがこれを利用したものです。

 

なお、やや特殊ですが、熱は放射でも伝わります。放射によっても体温は逃げてしまうので、これを防ぐためにアルミ裏地を付けることもあります。

除湿・防水する

ところで、人間は汗をかきます。おウマさんなんかも全身で汗をかきます。ちなみにすべての動物が全身に汗をかくわけではありません。

例えば、ネコちゃんなんかは肉球でしか汗をかきません。走り回って汗だくになったネコちゃんを見たことはないでしょう。全身で汗をかくわけではないからです。

ちなみにわんこも足裏や鼻などにしか汗をかきません(※)。

※厳密に言うと、アポクリン腺からの汗はかきますが、人間のような体温調節目的の汗とはかなり違います。

 

さて、汗をかくと下着などの服も湿気を帯びてきます。空気は熱伝導率が低くてよいのですが、濡れてしまうと断熱効果が下がってしまいます。

そこで重要なのが、この湿気をどう逃がすかです。

ここは非常にむずかしいところです。外に逃がそうとすると外気とつなげなければなりません。でも、そうすると熱も逃げてしまいます。

 

最近人気の発熱下着は、水和(すいわ)というかたちでこれを解決しています。これは下着の繊維に水分子がくっつくという仕組み です。

この際に水和熱という熱も放出されるのでなおさら好都合なのです。

ちなみにここで言う水和はかなりミクロな話なので、汗をかいて下着が蒸れたり濡れるというレベルまで行ってしまうと、上記のように断熱効果が下がってしまいます。

 

なお、雨などに濡れた場合も、外部からの水分を衣服内部に入り込ませないことも防寒上重要です。

 

まとめ

冬は防寒着が活躍する季節です。基本は「もこもこ」が重要です。

動物の毛は、例えば、羊毛だと大量の脂を分泌して撥水しつつ防寒するなど、その動物にあった防寒着になっています。

ただ、人間の衣服としては、汚れにくさ、洗濯のしやすさ、動きやすさ、軽さなど、ファッション性など防寒以外の要素も重要です。

 

さまざまなタイプの防寒着があるのもそのためです。それぞれの防寒着をうまく活用して楽しく冬を乗り切りましょう。