デザイナーズクリップ

少し前までファッションデザイナーをしておりました。

自分の職業を誰かに伝えた時、だいたい

「職業、ファッションデザイナーってすごいですね!」と言う感じの

反応を頂くので、何だか恥ずかしい感情をいつも抱いていました。

 

というのも、一般的な方が想像するであろう華やかなイメージのファッションデザイナー像と、

私が今までやってきたアパレルのデザイナー業務(これは自分自身の地味さも含まれる)って

かけ離れているのではない?!と思うからです。

 

確かに、アパレルのデザイナーという職種に就いている人間は世の中全体の職業の中の割合で考えると、少ないかもしれません。

超有名な海外でも活躍しているファッションデザイナーや芸能人でお洋服のプロデュースをしている人はテレビなど様々なメディアでその活躍や仕事ぶりを目にした事がある人は結構いるかもしれません。

しかし一般的なアパレルデザイナーのお仕事というのはなかなかスポットライトが当たらない様に思います。

 

様々な技術やAIの発展と共に淘汰されていく職業がある中であっという間に過ぎ去るトレンドを捉え、ブランドの色を活かして消費者のニーズに応えて「売れる」商品になる様にデザインする。

というこの職業は生き残って行けるのではないかな。と思っています。

まず始めに私がどうしてデザイナーになったのか?からお話させて頂こうと思います。

 

私は小さい頃、絵を描くのが大好きで漫画家になりたいと思っていました。

しかし、年齢と共にその気持ちは薄れていき、中学2年から周りの子につられて、オシャレに目覚めました。

地元の駅ビルでのお買い物など、等身大のものから始まり高校に入ると「ハイファッション」や「装苑」を読みファッション業界へ憧れを抱く様になります。

オリジナルの洋服を作り始めたり、高3になった時にはハッキリと「服飾の専門学校へ進学したい」と自分の進路を決めていました。

 

3回生になり、就職活動で私は2社程「パタンナー」としての入社試験を受けました。

あれ?デザイナーじゃないの?と思ったかもしれませんが服飾を学ぶうちに、

パタンナー(洋服の型紙を作る人)こそ技術職であり、何かあっても技術さえあればこの先、食べて行けるのではないか?と思っての事でした。

 

結果は惨敗。

就職氷河期と言われていた時代でしたが、これには凹みました。

 

一人暮らしだったので、このまま就職出来なかったら生きていけない!とかなり焦りました。

同級生はちらほらと内定を貰う子も出て来ていました。

次に学校へ来た求人の募集職種は「デザイナー」でした。

 

自分が全く知らないジャンルのブランドでしたが、ブランドを事前リサーチして

「自分だったらこういうアイテムをデザインしたいなー」なんて想像もしやすかったので

やってみたい!と思って受けた会社。

 

そこへ無事、内定を頂けました。

これが、私のファッションデザイナーとしてのスタートです。

 

就職先のブランドは神戸系エレガンスと呼ばれるカテゴリーで

デザイナーはチーフ1名、先輩1名、同期1名の計4人。

みんなエレガンスな装いではなく、入社してから安心したのを覚えています。

 

入社して研修で半年間、パタンナーをやりました。

スカートやブラウスなどの簡単なアイテムでしたが、デザイン画を貰ってデザインの説明を受け、

パターンを起こしてトワル(仮布)を組み、デザイナーさんにチェックを貰い、工場にサンプル作成の依頼をする・・・

デザイン画が1枚の製品になっていく過程の中で重要な業務を経験させて頂く事で、

のちにデザイナーになった時にパターンの知識はもちろん、

デザインが自分の手から離れてもそこに関わる人がどうやったら仕事をしやすいか?

想像して仕事をする事が出来るとても良い経験でした。

 

デザイナーになってからは顧客やターゲット層の方がどの様な商品を企画したら喜んで貰えるか、

何冊も雑誌を見て街に出かけて実際に売れている商品を知ると共に、不足知識の勉強、

売れているライバルブランドのリサーチを日々行っておりました。

 

当時の商品の企画は販売のおよそ半年前から企画が始まり

MDとチーフデザイナーが打ち出したシーズンのテーマとカラー、

素材に私達がデザインを当て込んでいきます。

 

どれだけ沢山の型数を考えても自分のデザインを採用して貰えなかったり、逆に指定された素材に

対して自分の経験の無さからデザインが全く浮かばないなど自分の無力さを痛感する日々でしたが

それでも先輩やチーフの様になりたい!と思い、毎日が充実していました。

 

 

仕事に慣れ始めた頃、売れた商品をもう一度再生産、もしくは少し形を変えて作るのは業界で当たり前の事ですが、

私は売れなかった商品を「何故売れなかったのか?」という事を検証しないまま売れ筋商品を企画していく事に対して

モヤモヤを抱える毎日に変わって行きました。

 

それでもブランドが売れていたら良かったのですが、

だんだんと売れなくなっていく閉塞感を感じた2年目。

会社の状態が危うくなっていきました。

知人の紹介でシャツメーカーのレディース部門のMDに転職。

半年程経った頃に、前会社の倒産のニュースを聞きました。

 

そこで数年働いたのち結婚、出産の為に仕事を辞めました。

子育てをしながらアパレルで働くという選択肢がなかった私は

アパレル人生、これにて終了!のはずでしたが、ご縁がありファッションデザイナーとして再度

働かせて頂く事になり現在は別の仕事をメインにしています。

 

そんな「元ファッションデザイナー」目線で切り込むデザイナーという職種の魅力、

そして見えない日々の努力…

時代と共に変わっていく中で その変化に応じながら第一線として働き続けているデザイナーさんに

私たちの生活を彩る「デザイン」を基軸とした疑問をインタビューしたり、お洋服作りの事などを

こちらで伝えていけたら、と思います。

 

宜しくお願い致します!