デニム生地の生産現場で思う事

私が所属するライフスタイル部では、アウトドア用の衣類などを

お客様のご要望にそって開発、生産しているチームがあります。

私もそのメンバーです。

アウトドアの衣類は雨や風を防ぎ、寒さから体を守らなければならないので

綿素材のデニム生地をあまり使う機会がありません。

ポリエステルやナイロンといった合成繊維に撥水加工や

特殊加工を施したものを使うことがほとんどです。

雨が降ってずぶ濡れになり、重くなったデニムパンツって

着心地悪いですからね。

 

今回、デニムの産地として有名な岡山県児島の生産現場を

見学する機会がありました。

そこで聞いた「中白(なかじろ)」という言葉がとても印象的だったので

少しお話してみたいと思います。

 

「中白(なかじろ)」って何?

デニム生地の生産方法について簡単に説明します。

デニム生地の糸は基本的には「ロープ染色」か

「枷(かせ)染め」で染色されます。

「枷染め」は、機械を使わず全て手作業で行う

昔ながらの伝統的な染め方です。

職人さんがインディゴ染料の入った壺の中に束ねて、枷(輪の状態)にした糸を

何度も浸しては取り出して絞る作業を繰り返します。

 

 

時間と手間をかけて丁寧に少しずつ染め上げていくことで

糸の中心までしっかり染料が浸透し、着込むほどに味わいのある風合いが楽しめます。

「ロープ染色」は機械を使用して染色します。

大量生産の現代、ほとんどのデニム生地の糸はこの方法で染色されています。

何本もの糸を束ねてロープ状にしたものをインディゴ染料が入った液層に潜らせ

空気に触れることで酸化が起こり、着色していきます。

 

 

インディゴ染料は繊維の中に入りにくいという特徴があります。

糸は浸透圧によって外側から徐々に染まっていくので

糸の芯に近づくほど染まりきらなかった白色が残ります。

これが「中白(なかじろ)」という現象です。

 

 

染まらない事の重要性

ジーンズは何回も着用して洗濯することを繰り返して

色落ちやヒゲ※と呼ばれるビンテージ感ができてきます。

これは使い込むことによって糸の表面が削れて、芯の白色がでてくるからです。

※ジーンズのモモの付け根周辺に出るはきジワがはき込む過程で

擦れてできるアタリ(筋状の色落ち)の事を指す言葉。

 

形状がヒゲに似ていることに由来する愛称でもある。

味わいのあるジーンズは、この染まりきっていない

「中白」である事がとても重要です。

染まりきらない事で味わいがでるというのは、我々会社勤めの人間にも

当てはまるかもしれません。

 

会社に染まらない人

長く同じ会社に勤めていると、知らず知らずのうちに

その会社の“色”に染まってしまいます。

同僚と群れをなして会社の噂話や人の悪口で盛り上がるのに

会議で誰かが決める事に頷くばかりで

対案を持って意見したりしなくなる人もいます。

 

それですと思考が止まってしまい、新しい考え方や挑戦ができなくなってしまいます。

会社の色に染まらない人は、一見周りからは浮いていて職場の和を

乱す存在に見えますが、実はそういう人こそ社外にたくさんの人脈を持ち

これまでにない発想で新しい事に挑戦している人が多いです。

 

我が社では今、新しい事業を創造する為に社員一丸となって取り組んでいます。

社内を見渡すと、手前味噌ですが「中白」の社員がとても多いです。

いい意味で個性的で周りに染まらない、常に視野を外に向け

失敗を恐れず新しい事業に挑戦する人がたくさんいます。

ビンテージデニムのような深い味わいのある「中白」の社風を

これからもずっと持ち続けたいですね。