『不織布』について

「不織布」という言葉は、コロナウィルス対策のマスクで、目に耳にされたことがありませんか?布製のマスクには中間に使用されることがありますが、一般的な下写真のマスクは不織布です。

最近では店頭でマスクが購入できるようになりましたが、3~5月は品不足でしたね。

その原因は中国を主とした生産国での「不織布の需要過剰による不足」でした。

 

<不織布とは>

文字どおり「織らない布」のことです。私たちが着用している衣料は、糸を織った織物や、編んでできた編物(ニット)の布を縫製したものです。

これに対し不織布は、繊維を一定方向またはランダムに集積して接着樹脂で化学的に結合させたり、機械的に絡ませたり、圧力をかけた水流で絡ませたり、熱融合繊維で結合させて作ります。

 

 

引用元:【不織布の日本バイリーン株式会社(最終閲覧日:2020年6月1日)http://www.vilene.co.jp/

 

 

<不織布の歴史>

繊維を糸や布に加工する技術を発見する以前の人類は、動物の毛皮や樹皮をほぐしたものを身にまとっていました。繊維(樹皮)をほぐしたもの、不織布の原形です。

また、羊の原産地ヒマラヤ山脈からチベットにかけての遊牧民が、羊の毛から「最初のフェルト」を作ったと言われています。したがってフェルトが不織布の起源といえます。

 

フェルトの拡大写真

 

1920年代、ドイツのフェルト業者が毛くずや紡毛などを接着剤で固めてフェルトの代用品を作りました。これが工場生産・不織布の第一号です。

その後ドイツや米国で研究が進められ、第二次大戦前後で進歩した合成繊維や合成ゴムの材料を応用し、現在の不織布と同じようなものが作られ始めました。

日本で不織布の生産が始まったのは、1954年に米国から乾式不織布製造装置を導入してからです。

 

<主な原料>

不織布の原料には、繊維に加工できる ほとんどの物質が使用可能です。

また複数の原料を組み合わせ、繊維の長さや太さなどの形状を調整することで、用途に応じた機能を持たせる事もできます。

 

 

天然繊維、合成繊維、再生繊維、パルプ、生分解性繊維、ガラス繊維、鉱物繊維等々、また接着剤として、各種樹脂、合成ゴム等が用いられ、形状も布状、レザー状、綿状、紙状他、様々です。

一般的にはポリエステル等の合成繊維が多く使われます。

 

 

<製法>

  • フリース(ウェブとも言う)を形成する②形成したフリースを結合する、この2段階を経て製造されます。段階ごとに様々な製法があり、原料・最終用途に応じて選択されます。

※フリース:不織布では繊維の集積層の呼称ですが、一般的にはポリエステルから作られる起毛した編み生地の呼称です。

もともとは羊一頭から刈り取られた羊毛の塊(かたまり)の意味で、語源は羊から毛を引き抜くという意味の古ゲルマン語「fleusiz」と言われています。

 

上記の①には乾式法、湿式法、スパンボンド法(高熱で溶融)、メルトブロー法等があり、②の結合にはサーマルボンド法(熱融合)、ケミカルボンド法(接着剤)、ニードルパンチ法(かえしのある針で機械的に絡ませる)、スパンレース法(高圧水流)、スチームジェット法(加熱蒸気)等があります。それぞれに特長があり、用途に応じて、しなやかにも強靭にも出来ます。

不織布は①の製法から、乾式不織布、湿式不織布等の呼称で分けられます。

詳しくは、日本バイリーン㈱の下記URLからご覧ください。

http://www.vilene.co.jp/about/nonwoven/how.htm

 

私たちが使用しているマスクには、主にスパンボンド不織布、メルトブロー不織布が使用され、何枚かの重ね合わせ、あるいは1枚を立体的に成型して作られています。

メルトブロー不織布は、樹脂(ポリマー)を溶融して紡糸ノズルから高温の空気を当てながら形成するため、極細の糸だけで構成された不織布です(下図は製造装置の一例)。

中国生産はメルトブロー不織布が主で、当社で配布のマスクもメルトブロー不織布です。

 

 

引用元:【小西 武四(平成4年10月31日)メルトブロー不織布の特性とその応用 P1】

 

<不織布の特徴>

・長所として

  • ポーラス(多孔性:すき間が多い)構造であり通気性・吸水性・保温性・保湿性が高い。
  • 様々な生産方法、様々な素材の組合せ活用により、ろ過性・拭き取り・補強・緩衝・

導電性・帯電性・柔軟性・耐洗濯性・耐薬品性など、用途に応じた機能付加が可能。

  • 生産性が高く、大量生産でき、安価でもある。
  • 密度、厚さを自由にコントロールできる。
  • 縫製はもちろん、熱による接着が可能なものもある。

・短所としては

  • 織られた布と比較すると強度が劣る。
  • 透明なものを作ることが難しい。

 

<製品としての用途>

・衛生材料用:マスク、おしぼり、化学ぞうきん、紙おむつ、生理用品等

・医療用:ガーゼ、しっぷ基材、アイソレーションガウン等

・衣料用:芯地、肩パッド、ブラジャーカップ、防寒用中綿、テープ類等

・建築用:吸音ボード、カーペット基材等

・工業用:ワイパー、電池セパレーター等

・自動車用:内装材、防音防振材、キャビンフィルター等

・農業・土木資材用:緑化用排水シート、蒔種シート等

・フィルター用:空気清浄機フィルター、防塵フィルター、ろ過フィルター等

・日用雑貨:キッチンペーパー、コーヒーフィルター、ティーバッグ、ワイパー、包装資材等

 

 

上記のように、多くの分野で使われていて、私たちの身の回りでも、たくさん使用されています。

目立ちはしないものの、不織布は、私たちの生活に欠かせないものというのが判っていただければ幸いです。