縫製トラブル豆知識

突然ですが、この2枚の写真の違いわかりますか?

左の写真は、針が*押さえの穴の前よりに落ちており、右の写真は真ん中に落ちています。

微妙な違いですよね…(写真では違いが分かりにくいですが、1mm以下のわずかな誤差です)

*押さえとは、布同士がずれないようにするための機具です

でも、この微妙な違いが、縫製をする上では大きな違いなのです。

 

この違いによって起こる縫製トラブルの一つが「針穴(地糸切れ)」です。

「針穴(地糸切れ)」は、簡単に言うと、

ミシンの針で生地の糸を傷つけてしまい、切ってしまうことを言います。

 

今回は、そんな「針穴(地糸切れ)」対策にまつわるお話です。

 

「針穴(地糸切れ)」の中にもいろいろなパターンがありますが、

特に多いのは、

ポリウレタンという透明な伸びる糸を一緒に編んだ生地の

ポリウレタンのみをミシンの針で切ってしまい、切れた糸が白く見える不良です。

※特に黒色の生地で目立ちます

 

 

この発生率を削減するためにいくつかの対処方法があります。

 

  1. ミシンの設定

冒頭で述べた針が真ん中に落ちるように調整する、

既製品の針板や押さえの穴を削って改良する、などがあります。

針と押さえの隙間が無いと糸を切ってしまう確率が高くなります。

※パンパンに張った水風船と、それほど膨らんでない水風船に指で刺した時にどちらが割れやすいのかというイメージです。

 

2. ミシンの回転数

電子モーター式のミシンは、最大1分間に5000回(1秒で84回)も針が落ちます。

回転が多いと摩擦熱が発生するので、糸を切ってしまう可能性が高くなります。

回転数を落とせばリスクは減りますが、縫製できる数量が減るので、生産性とのバランスをとる必要があります。

 

3. ミシン針選定

ミシン針は太さや、針先形状等によってたくさんの種類があります。

先のとがった針、丸い針、太い針、細い針をその商品に合わせて選定します。

 

4. 加湿する

例えば、綿などの天然繊維は乾燥していると固くなるので、湿気させると切れにくくなります。

※湿った紙と乾燥した紙を破る違いのようなものです。

 

5. 滑りをよくする

生地の柔軟剤を変更して滑りを良くしたり、シリコンを縫糸につけたりして滑りを良くすることで、うまく逃げられるようにします。

 

生地の素材、縫製する国、縫製する季節、その日の天気などの影響も受け、

これをすれば確実に良くなるという正解がない中で、試行錯誤を重ねております。