『マイクロファイバーって?』

先日、ある会社との商談で「マイクロファイバー」や「割繊糸(かっせんし)」「原着糸(げんちゃくし)」の用語が出て、聞き慣れない方も居られると思いましたので、説明します。

 

マイクロファイバーとは、化学的に組成された8㎛(マイクロメートル:髪の毛の約1/100の太さ)以下の極細のナイロンやポリエステル等の繊維で、吸水速乾性や通気性・保温性を持たせた素材です。

その機能性からスポーツウェアや下着に多く用いられ、またその繊維断面が鋭角や多角形の形状であることを活かして、メガネ拭き等の拭き取りクロスにも用いられています。

 

 

<マイクロファイバーの生い立ち>

「マイクロファイバー」という用語が日本で普及し始めたのは、2000年代前半からと言われています。その頃、類似品・模倣品を含め、海外から大量に日本に「手軽な雑巾用途」として輸入され、100円均一やホームセンターに普及しました。

しかし、このマイクロファイバーは1977年に日本が初めて市場に出した糸でした

1970年代の後半に人工スウェード(フランス語 suède:合成皮革の一種)の開発を目的として合繊メーカー各社が開発に取組みました。人工スウェードの質感を出すためには、繊維を極細にする必要がありますが、始めから極細で作ろうとすると強度が持たず、糸として成り立たず、困難を極めました。

そこで開発されたのが「作った糸をバラバラにする」製造方法で、「割繊糸(英語ではSplit Yarn)」、マイクロファイバーの誕生でした。

割繊糸って?

 

 

割繊糸の説明には、その製法から知っていただくのが早いと思います。

極細繊維の製法には、下図のように様々ありますが、「複合紡糸」にて割繊糸が作られます。

 

 

一例として、その製法からの命名の「海島型(シーアイランド型)」は上の前後図のように、

紡糸段階で、海と島を構成する複数のポリマー(高分子化合物:ポリエステル等)から、

通常の太さの糸を作り、アルカリ処理にて、海成分を溶解除去し、極細繊維となる島成分を残す製法です。

割繊糸とは、溶ける繊維と溶けない繊維とが混ざった混繊糸(こんせんし)のことです。

例えば、溶けない繊維がポリエステルであった場合、空気が入った極細繊維の束となるため、シワになりにくく、柔らかい風合いと、染色時には深みのある発色性が生み出されます。

※下の写真は、その紡糸ノズルです。

 

 

原着糸って?

原着糸とは「原液着色糸」の略で、ポリエステル等の化学繊維の生産時、原材料を溶かす

段階で顔料インクを入れ、着色を行って、あらかじめ色を付けた化学繊維のことです。

(英語では、Moped YarnやSpun-Dyed Yarn等)

 

通常、白や生成の糸を染料に漬け込んで着色する糸は、製造時に染料や、すすいだ水が廃液となるため、環境負荷が大きいだけでなく、摩擦によって色が落ちることがあります。

しかし原着糸の場合、繊維と顔料が一体化しているため、摩擦や日光による退色が少なく、

染色の手間がないため、少ないエネルギーで作れる、環境負荷が少ない色糸として注目されています。

 

 

以上、「マイクロファイバー」「割繊糸」「原着糸」について、説明しましたが、それらは

海外でも調達可能です。

しかしその中には、低価格にこだわるがための「模倣品」も多く、本来の価値が希薄になった物もあるようです。

この説明をしながら、日本生まれのマイクロファイバー等、「ジャパンクオリティ」を、

あらためて見直した次第です。