『起毛、毛玉・ピリング、抗ピリング加工について』

寒い冬には、アウターにもインナーにも、防寒対策ですね。

そうなると、フリースのように軽くて柔らかく保温性(空気層)ある生地の衣料を選択される方が多いのではないでしょうか?

主なフリースは、石油を原料とする「PET(ポリエチレンテレフタラート)」を使用した

ポリエステルの起毛生地です。同じくPETを材料とする、ペットボトルをリサイクルした素材もありますが、価格が高いため、現在流通しているフリースのほとんどは石油から作られたものです。また、アクリルを使用した安価なフリースもありますが、強度・保温性・撥水性などで、ポリエステルの方が優れた素材と言われています。

 

 

<起毛とは>

その名の通り、生地表面を引っかいて毛羽立ちを起こすことです。

製法としては、針布やアザミ(植物)を巻いたローラーを回転させ、その上に生地を流す事によって、生地表面から繊維を引っかき出す方法です。

 

起毛がいつ頃から始まったかは定かでないですが、古来より行われており、ポンペイ遺跡の壁画にも、手作業での起毛の様子が見られるそうです。

アザミを利用した起毛機が最初に作られたのは1684年で、その後、フランス、イギリスにて改良と革新が重ねられ、1890年には現在のような針金起毛機となりました。

起毛の歴史と起毛機の詳しくは、下記の(有)島本化繊起毛工場(日本唯一の起毛総合メーカー:和歌山)のホームページをご覧ください。

http://www.shimamotokimou.com/about/about1.php

<毛玉・ピリングとは>

ピリングとは、繊維同志が擦れることで繊維の表面が毛羽立ち、絡み合ってできる毛玉や

その現象のことです。

毛玉は、英語で「pilling」または「pill」。

ですから、起毛している生地は、すでに毛羽立ちしていますので、程度の差こそあれ、

必然的にピリングが発生します。

 

 

ピリングは糸の撚り数が少ないものや密度が粗い織・編物、繊維強度が強いものに生じやすく、セーターなど太い糸で編んだニット製品や合繊製品などで出来やすいです。

 

<毛玉ができる原因>

主に衣類の摩擦で発生し、生地同士が擦れることで静電気が発生して繊維が絡み合ってできます。

  • できるタイミング

・洗濯時、歩行時、着席時(ひじ掛)、靴を履く時等、何気ない日常の摩擦で発生します。

  • できやすい素材

・ポリエステル等の化学繊維、ウール等の天然素材

※できにくい素材としては、麻・シルク・コットン等があります。

<毛玉対策>

  • 着用した衣類はブラッシングする。出来た毛玉は市販の毛玉取り機等でカットする。
  • 毛玉ができやすい素材の衣類はクリーニングに出す。
  • 自分に合ったサイズを着用:体形にフィットしているサイズは衣類の擦れが少ないです。
  • 続けて同じ衣類を着ない:なるべく日にちを空けて、衣類を休ませましょう。

 

<毛玉ができにくい洗濯方法>

生地同士が擦れることを少なくするには、以下の方法があります。

  • 洗濯機の適正量を守る:衣類を無理やり押し込まないように注意します。
  • 洗濯ネットを使用する。
  • 柔軟剤を使用する:柔軟剤は洗濯時や着用時に摩擦で発生する静電気を抑えてくれます。
  • 靴下やタイツは裏返して洗う。
  • 丈が長いものは緩く結ぶ:タイツやハイソックスなどの丈が長いものは、洗濯機の中で絡み合う可能性が高いので、ゆるく結んで、なるべく丈を短くしましょう。

 

<抗ピル加工(抗ピリング加工)とは>

ピリングは、繊維の強度が強いのと、繊維同士が滑りやすいと発生しますので、

・生地の表面を薬品で化学処理して繊維の強度を落とす(毛羽をもろくする)。

・長めの毛羽を切ってからガス焼処理で表面の毛羽を少なくする。

・樹脂加工で糸の動きを抑える。

などの加工で、毛玉が「起こりにくく」する加工です。

ちなみにピリングは、織物よりはニット(編物)の方が発生しやすいです。

 

※抗ピル加工のデメリット:化学処理や樹脂加工した場合、元の風合いよりも硬く、

ごわごわした感じになる場合があります。

 

<ピリング試験>

検査機関では、ピリング試験機を用いた規定試験で、以下の1~5級の視覚判定をされます。

一般的には3-4級以上が良い結果となります。

・判定基準5級:変化なし

・4級:わずかな表面毛羽立ち又は部分的にできた毛玉

・3級:中程度の表面毛羽立ち又はピリング。部分的な毛玉のサイズと密度。

・2級:明瞭な表面毛羽立ち又はピリング。様々なサイズ及び密度の毛玉が生地表面の

大部分に見られる。

・1級:密集した表面毛羽立ち又は甚だしいピリング。様々なサイズ及び密度の毛玉が生地表面を覆っている。

 

<簡易式ポータブルテスター>

当社の繊維事業戦略室では簡易式試験機として「洗濯堅牢度テスター」「摩擦堅牢度テスター」と共に、下の写真「ピリングテスター」を取扱っていますので、紹介いたします。

 

I H Y M 形 ピリング・テスター (簡易式)

 

販売総代理店:株式会社GSIクレオス

<問い合わせ先>繊維事業戦略室 TEL:06-6944-2691

 

以上、ご参考になれば幸いです。