2020.06.24
「秘境の地」、「未開の地」などネット上などでたびたびネタにされることもある群馬県。
海はないけど、良質な温泉やスキー場なども多く、観光資源も豊富な群馬県。
その群馬県、かつて繊維産業が盛んな地域であったことはあまり知られていないかもしれません。
「上毛かるた」をご存じでしょうか。
昭和22年に発行された群馬を代表する郷土かるたで、主に群馬県の歴史・自然・人物・産業などが読まれており、全44枚あります。
毎年2月に県競技大会が開催されるなど、群馬県内で広く親しまれています。
特に小学生のころは冬になると地域ごとに練習会なるものが開催されることもあり、群馬県出身者の多くは上毛かるたの読み札をほぼ丸暗記していることが多いと思います。
その上毛かるたですが、先に述べた通り、群馬県内の誇るべき産業や人物などが読まれているわけですが、実は、繊維のことを読んだ札が多いのです。
き 桐生は日本の機どころ
け 県都前橋 生糸の市
に 日本で最初の富岡製糸
ま 繭と生糸は日本一
め 銘仙織りなす伊勢崎市
実に44札中5札が繊維関連の札です。
桐生市は西陣織と並ぶ絹織物の名産地とされ、富岡市には日本初の器械製糸工場であり、2014年に世界遺産登録された富岡製糸場が存在するなど、繊維産業が盛んでした。
群馬県は近代以前から養蚕が盛んな地域で、日本の生糸、絹織物の生産を支えてきました。
明治期になると、富岡市に官営製糸場が設けられ、近代的な製糸技術が導入されると、生糸の生産量は飛躍的に拡大し、日本は1909年に世界最大の生糸輸出国になりました。
余談ですが、その富岡製糸場で私の祖母も働いていたと聞いたことがあります。
そういえば、当社の創業当時の生業は生糸・綿撚糸の輸出ということでしたので、もしかしたら私の祖母が紡いだ生糸を当社が取り扱っていた可能性もあるかと思うとなんだか不思議な感覚です。
現在では産業構造の変化で、桑園面積や収繭量は縮小していますが、生糸の生産量は全国トップです。
群馬県には、今も現役として養蚕や生糸生産の研究をしている施設や、富岡製糸場を筆頭に当時を思い起こさせる遺産が多く残されています。
繊維や繊維産業に興味のある方は是非一度、群馬県に足を運んでみてください。
絹産業の遺産を巡りつつ、夜は温泉で癒されるなんてプランも素敵ですね。
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大切な衣服のために ~素材・糸について~