綿（コットン）は吸水性や肌触りの良さから、私たちにとっては衣類としても最も馴染みのある天然繊維であるといえます。

綿もいくつかの種類がありますが、そのなかで「超長綿」というものをご存じですか？一般の方には聞きなれないものでしょう。今回は、綿の中でも高級品といわれる超長綿について、概要・特長や機能性についてご紹介します。

超長綿の特徴・機能性

綿の原料はワタの木にできる綿花（コットンボール）で、原産地は世界中の熱帯・亜熱帯地域です。世界の綿花の生産量順位は、①中国、②インド、③米国となっていて日本は輸入に頼っている状況ともいえます。

希少価値の高い超長綿

超長綿とは、1本の繊維の長さが35mm以上の非常に長い綿です。
地球上の綿花のうち、約5%しか生産できないといわれる、希少価値の高いもので、超長綿を使った生地は、なめらかな肌触りとシルクのような光沢が特長となっています。
超長綿は、どうして一般的な綿よりもなめらかな肌触りになるのでしょうか？そこには糸番手が関係してきます。
糸番手とは、糸の太さを表す単位です。例えば超長綿では「50番手」「60番手」「80番手」「100番手」のように表示されます。
この数が大きくなるほど、糸が細くなりますので、
細い糸の方が、きめ細かく柔らかで、「80番手」「100番手」までなると、高品質な原綿のみを使っていることが多く、生地になると高密度で光沢や柔らかさが際立つからです。

綿は繊維長で分類される

綿は、その繊維の長さ（繊維長せんいちょう）によって、以下のように3種類に分けられます。

・短繊維綿（21ｍｍ以下）

・中繊維綿（21～28ｍｍ）

・長繊維綿（28ｍｍ以上）

超長綿は、上記の長繊維綿のなかでも35mm以上のとりわけ繊維の長い綿の呼称です。

代表的な超長綿とその特徴

超長綿のなかでも、これからご紹介するものは気象条件や生育環境が整っている限定地域で栽培されているため、最高級綿として有名です。世界で作られる代表的な6つの超長綿をご紹介します。

海島綿

カリブ海・西インド諸島で生産される海島綿（かいとうめんSea-Island cotton）は、カリビアンコットンとも呼ばれています。

手摘みで収穫され、糸をガスで焼く工程を踏むことで、表面が毛羽立たず、なめらかな仕上がりになります。発色性や染色性にも優れている超長綿です。

ギザ綿

エジプトのナイル川のデルタ地帯で栽培される綿で、ギザコットンとも呼ばれます。世界三大綿の一つにも挙げられるほど、品質が良いとされる綿です。

種の開発順に「GIZA○○」と番号があり、なかでも「GIZA45」は世界生産量の0.001%しか生産されてなく、最希少・最高峰のコットンといわれています。

インド超長綿

インド南部で綿の繊維を傷めないように手摘みで収穫されているのが、インド超長綿です。
そのなかでも有名なものに、スビンという種があります。スビンは、タミル･ナードゥ州の農家で生産され、シルクのような“しっとり感”が特長です｡

新疆（しんきょう）綿

新疆綿は、中国・北西部の新疆ウィグル自治区で生産されています。新疆綿も世界三大綿の一つです。ほかの超長綿と比べて、クオリティの基準が曖昧なため、数が多く流通しています。
なかでも「新疆146」という種は、超長綿の中でも　ひときわ長い繊維を持つといわれています。

ピマ・コットン

アメリカ南西部やペルーで生産される超長綿ピマ・コットン（pima cotton）は、先ほどご紹介したギザ綿、新疆綿とならぶ世界三大綿の一つです。インディアンのピマ族やアメリカ・アリゾナ州ピーマ郡が名前の由来とされています。

スーピマコットン

南西部のアリゾナ州ピーマ郡で、エジプト綿とアメリカ綿との異種交配によって、上記と同名の長繊維綿「ピーマ・コットン（pima cotton）」が作られました。
ピーマ綿の中でも、繊維が長く最上質の超長綿に“Superior Pima”を略した「スーピマ」の商標（スーピマコットン協会）が付けられるようになりました。

コットン素材の違いを知ってファッションを楽しもう！

単にコットン（綿）といっても、繊維の長さによって3つに種類が分けられることがわかりましたね。そのなかの長繊維よりも、さらに繊維の長い超長繊維から作られる綿は、超長綿と呼ばれ、高級綿とされていることもわかりました。
超長綿は産地によってブランド化され、今回ご紹介したように、それぞれの名称がついています。
買い物をしていて、タグ等に、知らない「○○コットン（綿）」という単語を見かけたら、どの産地だろうと調べてみるのも、その特長や背景がわかって面白いですよ！
Tシャツであれば、普通のコットンTシャツと超長綿でできたTシャツと肌触りの違いをチェックしたり、着心地を比べてみたりして楽しんでみてください。