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アパレル業界におけるサステナビリティとGSIクレオスの取り組み

2021.09.24

最近、アパレル素材を提案する際、お客様の要望として「リサイクル品も取り入れたい」という声が聞かれます。
また従来品と同じ生地であっても、明細に「リサイクル」と記載されているものも見かけるようになりました。

これは、近頃よく耳にする「サステナビリティ」の一環です。
今回はアパレルの観点から、サステナビリティについて考えてみたいと思います。

 

サステナビリティ(Sustainability)は英語で「持続可能性」を意味します。
持続可能性とはどういうことなのでしょう?

簡単に説明すると、「環境・社会・経済の 3つの観点から、この世を持続可能にしていこう」という意味になります。
ご存じの通り今世紀においては、環境・自然破壊、汚染、資源渇望(かつぼう)、貧困などいくつかの問題があります。
企業は営利を追求するだけでなく、これらの問題、すなわち環境・社会・経済に及ぼす影響も考慮し、
それらを統合した経営、事業活動を行わなければ、ならないということです。

近頃テレビなどでよく耳にするSDGs(エスディージーズ)というフレーズがありますが、
これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、ここにもサステナブルが関係しています。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択され、
先ほどご紹介した環境・自然破壊、汚染、資源渇望(かつぼう)、貧困などを含めた17個の大きな目標を2030年までに世界で達成しようという試みです。

アパレル業界でも、サステナビリティへの取り組みが前進しています。

 

私たちがSDGsに真っ先に貢献できる方法として、「リサイクル」が挙げられます。
アパレル業界では、どのようにリサイクルを行っているのでしょう?
身近な原料である羊毛、羽毛のリサイクルについてご紹介しましょう。

 

まず羊の毛を糸として紡げるようになるまでの過程をご紹介します。

①グリージー・ウール (羊から毛を刈り取ったままの状態)
この状態では、脂、糞、草木の種子、埃、土がついていて汚いです。

 

②スカード・ウール(グリージー・ウールを洗ったもの)
まだ少し糞、草木の種子などが残っています。

 

③カーデイング加工
スカードをカード機にかけると、ふわふわの 綿(わた)状態(ウエッブ)になります。
カード機は、綿(わた)状の繊維の方向を揃えて、櫛で繊維を1本、1本ほぐす機械ですが、
ウエッブは、未だ繊維が揃っていない状態です。

  • ウエッブを大きなカード機に付いているドラムに巻き取ってはずすとシート状になるので、フェルトや布団作りに使用される。 ( = ロール)
  • 幅 約 20㎝ の帯状に巻き取る場合もある。( = カード)
    ロールを細長くしたような形状。

(ウエッブ)         (ロール)         (カード)

 

④スライバー加工
ウエッブを更にカード機にかけ、繊維を平行に揃え、ロープ状にしたもの。
この段階から、紡績(原料、主に綿、麻、羊毛等の繊維から、糸の状態にすること)が可能となります。

⑤トップ加工
スライバーをコーミング機に(コーミング = 梳(す)く。髪の毛を梳(す)くような感じ。)かけて、完全にゴミを取り除いたもの。
ロープ状で見た目が綺麗です。

 

上記のような工程で原毛が使用できるようになった後、更に防縮加工、染色、紡績(ぼうせき)を行うので、
製品に使用されるには、大変、時間とコストが掛かります。

また、原毛を洗浄し、カード機、コーミング機にかけるたびに、不純物やゴミが出ます。
防縮加工には化学薬品が使用されるので、環境にも良いとは言えません。
羊も頻繁に毛を刈られることに、ストレスも感じているはずです。

そこで、羊毛のリサイクルについて考えてみましょう。
不用になったウール製品を回収し、紡ぎ直して使用することで、上記の工程はすべて省くことができます。
コスト軽減になるだけでなく、環境汚染にも大いに配慮できることになるのです。

 

次に羽毛を糸として紡げるようになるまでの過程をご紹介します。羽毛は水鳥(アヒルやガチョウ)から取れます。

①除塵(じょじん)…原羽毛に付着しているゴミ、塵(ちり)、不純物を取り除く作業。②洗浄・脱脂・すすぎ・脱水
③高温にて乾燥・熱消毒・フワフワ感の復元
④冷却徐塵
(③の工程で羽毛が非常に高温になっている為、常温に冷却、再度、塵も取り除きます。)

などの作業を行います。

羽毛は羊毛と違い、刈り取ることは出来ないので、食肉用に成長させた家禽*を殺傷し、毛を抜きます。
需要が増えれば、殺傷される家禽(かきん)の数も増えてしまうのです。
(*家禽(かきん) : 食肉、卵を産ませる、羽毛を取る等の理由で飼育される鳥類の総称。)

羽毛のリサイクルを行うには、不要となった羽毛布団やダウン製品を回収し、再度、上記工程を経て使用可能な状態にします。
作業工程は羊毛のようには減りませんが、大量の羽毛をそのまま捨てるとすれば、焼却することによって二酸化炭素が発生し、大気汚染につながることになるでしょう。

羽毛もリサイクルすることにより、環境保全、必要以上に生き物を殺傷しないという意味で、サステナビリティの一環であるといえます。

 

当課は、2019年の秋冬物のジャケットやコートにリサイクル・ダウンを使用する計画でしたが、
少し前から中国政府が、中古品、特に繊維製品・動物の毛・皮の輸入を禁止してしまったために、諦めざるを得ませんでした。

リサイクルを中国で行うために、アメリカや日本などから膨大な数の古着、古紙、ペットボトル、不要電気製品等を持ち込んだのです。
これが原因となり環境汚染を引き起こしたり、保管場所に困ったりしたための処置として、中国政府は上記の製品の輸入を禁止してしまいました。

当課は日本でリサイクルした羽毛を輸出し、中国で縫製されるコートやジャケットに詰めることが目的でしたが、
リサイクル品 = 中古品と判断されてしまうこと、また、羽毛のリサイクルを中国で行いたいと考える企業が出てくる可能性もあるため、中国ではこの過程も禁止対象となってしまいます。

リサイクル・ウールは、今年、です。(日本国内生産)
原料だけでなく、ナイロン、ポリエスター生地のリサイクル品(化学繊維を元の原料まで戻して再生する)は、既に使用しています。

 

今回はアパレル業界におけるサステナビリティや、当課での取り組みについてご紹介しました。
快適で着心地のよい製品を作ると共に、このように環境保全、社会貢献の一環を担うべく、よりいっそうの企業努力が望まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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